ちょっ…待て待て、待てぇ!

近所にジジイが住んでいる。

まだ僕が子供だった頃、このジジイはすぐに怒り出すヤツとして恐れられていた。
ヤツに捕まると怒髪天を突くような勢いで、鬼のような顔で怒鳴られた。
別にイタズラをしたわけでもないのに。
わけもわからず……。
それ故、子供の頃の僕たちはヤツを見たらすぐに逃げていた。

あれから20年近く経った。
そんなジジイも今では70を超えて久しい。
顔つきも当時の鬼のようなものではなく、常に笑顔を絶やさない好々爺のような印象になった。
あぁ……これが時の流れというものか。
当時の嫌な記憶も水に流せるというものである。

しかし、だからといって僕がこのジジイに挨拶をすることはない。
いまだにこのジジイを見たらすぐに逃げている。
昔のことは水に流したはずなのに。
何故か。

 

「嫌な記憶」が数ヶ月前新たに上書きされたからである。

 

数ヶ月前のある日。
友人と近所のスーパーまで酒を買いに行った時のこと。
そのスーパーに偶然居合わせたジジイは僕たちにいきなり話しかけてきた。

『なんや兄ちゃんたち、こんな時間から酒飲むんか?』

いやーそうなんすよー、などと友人が受け答えしているのを横目に、 僕はといえばジジイが僕のことを全く覚えていないことに若干ガッカリしながら酒を見繕っていた。
まぁ実際、幼少時代から十何年もろくに顔を合わさなければ忘れてしまって、というかわからなくて当然なのであるが。
あえて名乗りなおすこともないかぁ、と思いながらふとジジイの会話に耳を向けると、どういうわけか陰茎の話題になっていた。

『兄ちゃんのマラは小さいやろ!そっちの兄ちゃんのは大きそうや……どうや、当たってるやろ!』

……そんなフリされても(;´Д`)
さらにジジイは矢継ぎ早に喋り散らした。

『昔は女がおらんかったからなー。そりゃーよく男同士で舐めあったもんやで。兄ちゃんシャクハチってわかるか?マラをな、 舐めることや。どうやっ?たまに懐かしくなるからなーホンマに、どうや?オッチャン、ホンマに上手いねんで!3分で逝かしたるわ。なっ? ちょっとでいいから。今なら家に妻もおらんからちょうどいいんや、なっ!よしっ!今からわしの家行こ!舐めさせてよ、兄ちゃんの。 ホンマにちょっとだけでいいから。』

 

早々に召されろジジイ……。

……とまぁ、そんなことがあったので、現在ではジジイを見かけたら見つかる前に脱兎の如く逃げ出しているわけ。

ところが今日はちょっとうっかり不幸に遭遇した。
僕が車庫入れをしている際に、ちょうど家の前をジジイが通りがかったのである。
しかもバッチリこっちを凝視しているわけである。
挨拶せざるをえない……。

「…ち、ちわーっス」 (((( ;゚д゚)))アワワワワ

『ほっほーー!久しぶりやなー大きなったなーお兄ちゃん。ぇえ?10年ぶりくらいか? 前見たときはホンマにこんな小っちゃい子供やったのになー。なんや、今何してるんや?もう24・5歳くらいか?』

少し話してみてわかったのであるがこのジジイ、前回僕と会ったことを完全に忘れていやがる。
それはそれで僕としても都合がいいのであえて指摘するようなことはしない。
流石に近所の子だとわかっていればジジイも変な話題は口にせんやろうしな。
ただ、「こんな小っちゃい」と言うときにジジイは手のひらから地面までの高さでではなく、 親指と人差し指を広げることで小ささを表現しやがったわけで、それが何を意味するのか僕にはさっぱりわからんわけです。
ちなみに5cmくらい。
僕は小人か。

その後、話題は家族のこと、カノジョのことと移り、そして…………陰茎の話になった。
結局こうなんのかよっ!結局こうなんのかよっ!結局こうなんのかよっ!見境無しかよクソジジイッ!!ヽ(`Д´)ノ

 

自分で書いててちょっと吐き気がしてきたので、以下にその後のことを列挙。

 

ジジイが『お兄ちゃんのマラを見せてや』と言うが、僕はそれを拒む。
ジジイの顔から笑みが消え、突然僕の腕を引っつかむ。
そのまま僕の家の車庫の奥(車の裏)まで僕を引っ張っていき、ジジイは自分の陰茎を僕に見せつける。(犯罪2件)
『どうや、ワシのは裏筋がすごいんや』などとほざきながら、僕にそれを握らせようとするが断固拒否。
『じゃあ兄ちゃんの見せてよ』と、どんな理論展開の仕方してんのかわからんが、当然それも拒否。
ジジイ、キレかけ。
『あれもこれもあかんのか!ワシは見せたんやから!せめて舐めるくらいはいいやろっ、なぁ』
拒否。
『なんや兄ちゃん、照れてんのか?大丈夫や、ここなら誰にも見られへんから。ホレ』
拒否。
『しゃーないなぁ。じゃあ今日はいいわ。またいつか舐めてくれな、約束やで』と言いながら無理矢理ユビキリ。
「ジジイ、それは何を触った手ですかコノヤロウ」
『気にしたあかんで。兄ちゃん、明日は暇か?暇な日はいつや?』
「話を聞きなさいクソジジイ、ってゆーか明日から旅行なんでしばらく僕はいませんよ(嘘)」
『何時に出るんや?』
「あぁ……多分7時くらいですよ(嘘)』
『よっしゃ、それじゃ明日のAM06:30くらいにココ(僕の家の車庫の奥)におるわ。そん時舐めて』
「いや、ちょっと待てジジイ」
『約束やで!それから今日のことは誰にも言ったらあかんで!これも約束や』
「いや、だから待て。僕はうんともなんとも言っ」
『また明日な兄ちゃん!』

 

明日ジジイはうちに来て僕に陰茎を舐めさせるそうです。(不法侵入)

投稿者:kouhei : 2005年08月04日 22:43

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